仮 設 云 々 

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仮設工の現状

 元来、仮設工は、本体の計画・設計をはじめ施工内容、安全性、経済性、工程等に至るまで大きな影響を及ぼすものであり、厳しい作業環境での施工が増大する中でその重要性はますます大きくなってきています。しかし、目的構造物に比べ仮設構造物は、工法や項目が広範囲に及ぶこと、現場条件の影響を大きく受けること等から、その把握が難しく、発注者、受注者それぞれの立場から仮設をめぐる種々の問題点が指摘されているのが現状ではないでしょうか。

※実際、モノによっては本体工事に比べて仮設工事の占める割合が非常に大きいものもありますよ。全体工事費の半分近くが仮設に関わる費用だったり、工程の半分を占めたりするものもあります。また、現場条件の影響を大きく受ける構造物にもかかわらず、調査が不十分だったり、経済性ばかりを優先させ不適当な計画だったりすることが多々あります。


発注業務における「仮設工」の位置づけ

 「仮設工」については、特別な指定をする場合を除き、発注者にとって”受け取り対象物”とはならないため、図面を作成したり、数量を算出したりするのは、もっぱら工事費を算出するための補助業務と受け止められがちです。さらに、「仮設工」については特別な場合を除き、構造や規模についても請負者が任意に決定できるものである(この辺りは下の”指定仮設と任意仮設”を参考に)ことから、発注者の計画、設計、積算の各段階とも「工事目的物」に求められる程の”重要性”を必要としないと考えられがちです。しかし、仮設工の計画、設計および積算においては、契約条件、工事現場条件、工事作業条件等を十分に把握し、これらを設計図書や積算に反映させることが、受注者が所定の工期内で安全かつ円滑な施工を確保しながら、所定の品質を持った工事目的物を完成させるための手段として極めて重要です。従って、発注者、受注者共に、仮設構造物の重要性を十分理解し設計・積算を行うことが望まれます。

※甘く積算したために、現場に入ってから設計変更になったりするケースもあるのではないでしょうか?工事費を算出するための「補助業務」ではいけません。「請負者の任意だから」で、請負者に責任を押しつけるだけでいいのでしょうか?工事を請け負った会社全てが仮設工事に精通しているとは限らないのです。「所定の工期内で安全かつ円滑な施工を確保しながら、所定の品質を持った工事目的物を完成させる」これが最も大切なことです。すべては仮設の出来次第ではないのでしょうか。


仮設設計に関する留意事項

<計画・設計・施工>
 設計においては、調査精度や現場条件に応じ、安全にかつ経済的に工事目的物が施工できるような仮設構造物を設計する必要があります。
 しかし、「工事目的物」については、その計画、設計、積算の各段階ごとに考え方の指針となる図書や資料が整理されており、それぞれの業務を分担する手法も確立されていますが、「仮設構造物」については、その重要性にもかかわらず、関係資料の整備が十分とは言えないのが現状です。この原因としては、「工事目的物」の計画、設計に際して、形式、規模、構造、仕様等を決定する判断基準として、”現場条件”よりも”機能条件”が優先されているのに対して、「仮設構造物」におけるそれは、”機能条件”よりも”現場条件”が優先されるという点にあります。つまり、”機能条件”による判断基準が比較的シンプルであるのに対し、”現場条件”による判断に際しては、膨大な情報を基にして、総合的な判断を下す必要があり、この複雑さが、これまで判断の指針となる図書や資料の整備を推進する障害になったものと思われます。
 また、一般的に現場条件に左右されやすい仮設構造物の施工においては、特殊な現場条件下での施工を余儀なくされるケースも予想され、さらに構造物に予期せぬ外力が生じることにより構造物の機能等が損なわれ、工事全体の進行に大きな支障となることも考えられます。このため、施工計画の検討にあたっては、仮設構造物の目的を明確にするとともに現場条件(施工条件、社会的条件等の制約条件)を十分調査・把握(予測)することに努めることが重要となります。さらに、こうして選定したいくつかの施工方法を、施工手順・組合せ機械の検討後、概略工程・概算工費の視点から評価し、最も適正な施工方法を選定するというのが一般的でありますが、諸条件(例えば、出水期を控えたような工事)によって、期日が定められている場合等(工程作成上で逆算法や重点法を用いらなければならない場合)では、あらかじめ工期を考慮した上で工法選定が必要となるので特に注意を要します。

<積算>
 発注者は工事を請負に付する場合には、予定価格を算出するため、積算の基礎となる仮設工も発注者が十分な妥当性を持った計画・設計ならびに積算を行うことが重要な要件となります。しかしながら、公共請負工事の契約約款は、請負者独立の原則が前提となって作られています。すなわち、工事請負契約約款の総則第1条3項において「仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(「施工方法等」という。以下同じ)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、乙がその責任において定める。」と明記されている点には留意する必要があります。すなわち、「発注者が設計図書で、仮設工法を図面等で指定する場合又は構造、規模、施工方法等の基本的な仕様について特記仕様書等に明示する場合」を除き、請負者の判断と責任において当核工事を実施することが原則となっており、発注者が積算において想定した仮設計画通りの施工を請負者に強要するものではない。発注者が必要と判断する場合は、「指定仮設」とする、あるいは施工段階において、予想される条件変更に対応できるよう、特記仕様書等に条件明示をすることも忘れてはならないでしょう。

<指定仮設と任意仮設>
 公共工事の仮設備は、工事請負契約約款の原則からすれば、受注者の責任において施工する「任意仮設」が基本であると考えられています。しかし公共工事においては、工事中における公衆災害の防止および施工に伴う重大な労働災害の防止についても特に留意する必要があります。
 このため工事の発注にあたって、発注者が特に必要と判断したものは、契約条件として仮設工の規模、構造等について、あらかじめ発注者が指定し「指定仮設」とする場合があります。
 国土交通省では工事の安全対策の指針である工事安全対策要網で指定仮設とする要件を示しています。すなわち工事の発注にあたって、「次に示すような場合の施工条件の仮設工については、設計図書をもって指定仮設とする」と明記されています。
 イ.河川堤防と同等の機能を有する仮締切の場合
 ロ.仮設構造物を一般交通に供用する場合
 ハ.特許工法または特殊工法を採用する場合
 ニ.関係官公庁等との協議により制約条件のある場合
 ホ.その他、第三者に特に配慮する必要がある場合
なお、上記のような指定仮設とする場合の留意事項としては、事前に現地調査を十分に行い、仮設工の計画・設計の可否を技術的に検討審査するとともに、経験豊富な専門家等の助言も活用して、指定仮設の内容を十分検討し、関係法令、関係技術基準・指針等に沿った施工の安全性の確保に十分配慮した適切な内容とすることとしています。
 また、標準契約約款第1条3項のいわゆる”指定仮設”と”任意仮設”の区分は、「仮設の構造、規格、寸法、工法等の必要事項を明示するか、それともこれらを決定するために必要な設計上の条件のみを明示するか」の契約上の違いだけであり、本来、設計の方法については何ら異なるところは無いものである。もし、仮に”指定仮設”に比べ”任意仮設”が軽んぜられる傾向にあるとすれば、それは当然戒めなければならないものです。


ということで、色々と云々がありますが、仮設の出来が工事に大きな影響を与えるということはご理解頂けると思います。
弊社は”経験豊富な専門家集団”です。今までの仮設設計に対する豊富な経験から、”的確なアドバイス”、”現場条件を十分考慮した設計”を行うことが可能です。


「仮設ってなぁに?」という方には、こちら → 熊谷組さん


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